オーケストラ福山定期 Vol.4 京都市交響楽団
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ドヴォルザーク/交響曲 第6番ニ長調
指揮:鈴木雅明
ヴァイオリン独奏:ジョシュア・ブラウン
コンサートマスター:石田泰尚
2024年11月17日 ふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)大ホール
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ドヴォルザーク/交響曲 第6番ニ長調
指揮:鈴木雅明
ヴァイオリン独奏:ジョシュア・ブラウン
コンサートマスター:石田泰尚
2024年11月17日 ふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)大ホール
・このコンサートに登場予定だった沖澤さんが産休に入られると言うことで、指揮は代役言うにはあまりにもビッグな鈴木雅明さんに、曲目もブラームスのセレナーデからドヴォルザークの6番に変更となった。雅明さんの指揮はBCJ倉敷公演以来2回目で楽しみにしていた。
・どうやら雅明さんはこの4月にイギリスのフィルハーモニア管弦楽団でドヴォ6を指揮していたらしく。「素晴らしい曲なのに、このオケでも20年ぶり」とのコメントを残している。楽譜を知悉した結果、京響でも採り上げたい!と考えたのだろう。
・会場の入りは6割5分、キャパ2000人のホールなので、このホールの普段の集客力を考えるとかなり入ったなぁという印象。特に一階前方は左サイドの席までぎっしりで、まるで人気ピアニストが登場するコンサートのような埋まり方だった(あとで理由がわかった)。私は2階席に陣取ったのだが、1階席や最安のC席:4000円が割り当てられる3階はかなり埋まっていたが、S席(6,000円)、A席(5,000円)が割り当てられる2階はガラガラで、ゆったりと聴くことが出来た。
・楽器配置について。前半は下手奥にCb4、Vn10→Vc6→Va8→Vn10の対向配置、ティンパニは上手奥でバロックティンパニを使用。Cl,Ob,Fl,Hrの前半は首席温存。後半は対向配置ながら14型に拡大して物凄い迫力だった。ティンパニはバロックは舞台上に置いたまま、センター奥に設置。
・どうやら雅明さんはこの4月にイギリスのフィルハーモニア管弦楽団でドヴォ6を指揮していたらしく。「素晴らしい曲なのに、このオケでも20年ぶり」とのコメントを残している。楽譜を知悉した結果、京響でも採り上げたい!と考えたのだろう。
・会場の入りは6割5分、キャパ2000人のホールなので、このホールの普段の集客力を考えるとかなり入ったなぁという印象。特に一階前方は左サイドの席までぎっしりで、まるで人気ピアニストが登場するコンサートのような埋まり方だった(あとで理由がわかった)。私は2階席に陣取ったのだが、1階席や最安のC席:4000円が割り当てられる3階はかなり埋まっていたが、S席(6,000円)、A席(5,000円)が割り当てられる2階はガラガラで、ゆったりと聴くことが出来た。
・楽器配置について。前半は下手奥にCb4、Vn10→Vc6→Va8→Vn10の対向配置、ティンパニは上手奥でバロックティンパニを使用。Cl,Ob,Fl,Hrの前半は首席温存。後半は対向配置ながら14型に拡大して物凄い迫力だった。ティンパニはバロックは舞台上に置いたまま、センター奥に設置。
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲
・楽団員さんが舞台に登場すると盛大拍手が起きる。本拠地の定期演奏会ではコンサートマスターが入ってから拍手が起こるので、照れくさくも嬉しそうな楽団員さん。そこへコンマスの石田泰尚さんの登場で沸騰するような拍手。いやいや、指揮者登場時よりも拍手が大きい。左サイドまで座席がぎっしりだったのは石田さんの追っかけだな(笑)
・ノンヴィヴラートの高温弦、バロックティンパニの乾いた音、快速テンポにフレーズの末尾をスパッと切るようなアプローチ。『これぞピリオド系』の演奏は、このリーデンローズで聴くのは初体験だが、残響豊富なこのホールでこのテンポで演奏するのは困難なのか?珍しくアンサンブル的にはやや纏まりに欠ける感は否めず(これも聴き手の耳が慣れていないだけかもしれない)。京響の皆さん、少々お疲れだったかもね。
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
・ソリストのジョシュア・ブラウンの異次元の音色、これに尽きる。ずっと聴いてられる美しすぎるハイトーンがとにかく印象に残った。今年のエリザベート王妃2位・聴衆賞という結果を見るまでもなく、テクニックも盤石なのだが、とにかく美しく響く音色がコンサートから1週間以上経過した今でも耳に残っている。
・リーデンローズのホール音響も味方となった。早いパッセージや曲のハイライトの場面でも音が荒れることは無く、それどころかいっそう輝きが増す感じ。残響が豊富な明るめの音響は、このジョシュア・ブラウンの音にはぴったりだった。音の線がやや細い印象は受けるが、まだ(恐らく)20代ですからねぇ。この先、この美音の持ち主がどれほどの高みに登っていくのか・・・・注目したいと思う。
・オーケストラはティンパニはバロック・ティンパニを使っているものの、1曲目ほどの徹底したノン・ヴィヴラート奏法は採用せず、弦の音は純化され磨き抜かれ、管楽器のソロはまろやかでジョシュアのヴァイオリンによく合う。
・第1楽章のカデンツァは、ティンパニとの掛け合いがあり、その対話がとても面白かった。こういうカデンツァもあるんやねえ。プレトークでは説明があったようで、ピアノ協奏曲版(以前はピアノ協奏曲第6番と言われていたこともある)のベートーヴェンのカデンツァをテツラフがヴァイオリンとティンパニにアレンジしたものらしい。中山さんのティンパニも素晴らしかった(バロック・ティンパニでよく正確な音程が取れるなあ、と)。
・アンコールのバッハ無伴奏のラルゴでの繊細な表現もお見事。リサイタル、室内楽、どちらにせよ絶対に再度聴きたいヴァイオリニスト。
・楽団員さんが舞台に登場すると盛大拍手が起きる。本拠地の定期演奏会ではコンサートマスターが入ってから拍手が起こるので、照れくさくも嬉しそうな楽団員さん。そこへコンマスの石田泰尚さんの登場で沸騰するような拍手。いやいや、指揮者登場時よりも拍手が大きい。左サイドまで座席がぎっしりだったのは石田さんの追っかけだな(笑)
・ノンヴィヴラートの高温弦、バロックティンパニの乾いた音、快速テンポにフレーズの末尾をスパッと切るようなアプローチ。『これぞピリオド系』の演奏は、このリーデンローズで聴くのは初体験だが、残響豊富なこのホールでこのテンポで演奏するのは困難なのか?珍しくアンサンブル的にはやや纏まりに欠ける感は否めず(これも聴き手の耳が慣れていないだけかもしれない)。京響の皆さん、少々お疲れだったかもね。
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
・ソリストのジョシュア・ブラウンの異次元の音色、これに尽きる。ずっと聴いてられる美しすぎるハイトーンがとにかく印象に残った。今年のエリザベート王妃2位・聴衆賞という結果を見るまでもなく、テクニックも盤石なのだが、とにかく美しく響く音色がコンサートから1週間以上経過した今でも耳に残っている。
・リーデンローズのホール音響も味方となった。早いパッセージや曲のハイライトの場面でも音が荒れることは無く、それどころかいっそう輝きが増す感じ。残響が豊富な明るめの音響は、このジョシュア・ブラウンの音にはぴったりだった。音の線がやや細い印象は受けるが、まだ(恐らく)20代ですからねぇ。この先、この美音の持ち主がどれほどの高みに登っていくのか・・・・注目したいと思う。
・オーケストラはティンパニはバロック・ティンパニを使っているものの、1曲目ほどの徹底したノン・ヴィヴラート奏法は採用せず、弦の音は純化され磨き抜かれ、管楽器のソロはまろやかでジョシュアのヴァイオリンによく合う。
・第1楽章のカデンツァは、ティンパニとの掛け合いがあり、その対話がとても面白かった。こういうカデンツァもあるんやねえ。プレトークでは説明があったようで、ピアノ協奏曲版(以前はピアノ協奏曲第6番と言われていたこともある)のベートーヴェンのカデンツァをテツラフがヴァイオリンとティンパニにアレンジしたものらしい。中山さんのティンパニも素晴らしかった(バロック・ティンパニでよく正確な音程が取れるなあ、と)。
・アンコールのバッハ無伴奏のラルゴでの繊細な表現もお見事。リサイタル、室内楽、どちらにせよ絶対に再度聴きたいヴァイオリニスト。
ドヴォルザーク/交響曲 第6番ニ長調
・ドヴォ6は大好きな曲で、よく三大交響曲と称され演奏機会も格段に多い7・8・9番と比較しても引けを取らない名曲と信じる。ただ、やや構成に難がある(特に第4楽章)のも事実。指揮者の実力を存分に堪能するには、こういう曲の方がよい場合もある。
・ドヴォルザークの7番~9番はクラシック音楽鑑賞を聴き始めた中学生時代から馴染んできたが、この6番の魅力に開眼したのは結構最近だった。20年ほど前にプロオケで聴いたのがきっかけだが、プロ演奏の鑑賞経験はその1回しかない。メロディメイカーのドヴォルザークらしく、魅力的なフレーズが散りばめられている魅力的な楽曲なのだが、いかんせん鑑賞機会が限られている。
・曲に開眼して以来ノイマン/チェコフィル、スウィトナー/SKDの録音でで馴染んだこともあって、素朴で牧歌的な演奏が好み、しかし鈴木雅明さんのタクトはそれらとはとは全く違った!!
・先に書いた通り、弦5部は14型に拡大。雅明さんはBCJやバロック音楽のイメージが強く、10型ぐらいで小回りの利く演奏を想像していたので、この巨大編成は意外だった。石田コンマスの隣は泉原さん、ヴィオラに店村さん、チェロに上村さんという盤石の布陣から繰り出される弦の機動的かつ重厚な迫力あるサウンドは凄まじかった。
・演奏も『BCJの雅明さん』のイメージを大きく覆す、ゴリゴリ肉食系の超ハイカロリーなタクト捌きだった。優雅でメロディアスな冒頭はロマンティックに始まったが、序奏の途中から重厚に濃厚に聴かせる。歯切れのいいフレージング、緩急のメリハリ、決める所での大見得のようなパウゼなど、大編成を完全に掌中に収めて「これぞロマン派の演奏」という聴きごたえのある演奏に、まるでノーガードのパンチを食らい続けるような感じだ。
・この日の解説にも書かれている通り、ブラームスの交響曲第2番からの影響を指摘する見解が多いが、ブラ2に比較すると「やや冗長」という評価があることも事実だろう。ところが鈴木さんのタクトはこの曲の対位法が駆使されている構造を明らかにし、とりわけポリフォニーの各パート間の平等な扱いが徹底されていて、まるでベートーヴェンのシンフォニーを聴いているような構成感にあふれ、それがこの曲に瑞々しい生命を与えていた。もちろんこれは、京響のアンサンブル能力あってのことだろうが、ドヴォルザークが苦心して作った対位法の妙味を存分に引き出したために冗長さが霧消したのだろう。
・第1楽章の序奏の部分。序奏のフレーズが「行きつ戻りつ」しながらエネルギーを溜めに溜めて一気に開放する場面などは、まるでベートーヴェンの英雄の冒頭に酷似している。そう、まさに田園交響曲というよりは英雄交響曲ではないか、と思わされた。
・そうかと思えば第2楽章の冒頭のこの上ない美しさは、第九の第3楽章に酷似しているようにも感じる。雅明さんのタクトに接すると、このブラームスの6番はドイツの3Bからの系譜を正統的に受け継いだシンフォニーのように思えるのだ。
・個々のパートで言えば、まずは第三楽章でのティンパニ:中山さんの演奏が素晴らしかった。2-2-2-3-3のリズムに加えてシンコペーションも要求されるが、余裕のバチ捌きで、月並みな表現だが言ってカッコ良かった。その演奏の美しさをずっと凝視していた。
・ポイントポイントでソロが出てくる高山さんのオーボエ、小谷口さんのクラリネット、柿本さん率いるホルン鯛も良かった。雅明さんの対位法の構築美とマッシヴなサウンド、彼ら木管陣の牧歌的味わいの深い演奏が相まって、
・第3〜第4楽章のアタッカで繋げ、第3楽章での熱狂が第4楽章へ引き継がれた。第4楽章はやはりブラームスなどと比べるともう一工夫欲しい感じは残るが、生命力溢れる熱演で冗長さは全く感じさせなかった。こんな充実したドヴォ6はもう聴けないかもしれないな・・・・
・このリーデンローズ大ホールで聴く京響の音色は京都コンサートHとも違うし、ザ・シンフォニーHとも違う。キュイーンとどこまでも伸びる音(語彙力が・・・)、各楽器の音ががトロトロに溶けていく感じ。
・終演は1820。オーケストラ福山定期の年間プログラムの中では、一番軽量かと思われたが、なんのなんの、大満足の演奏会でした。照明が明るくなるまで続いた拍手が、満足感が私だけでなかったことを証明している(もしかすると、定期演奏会慣れしていない福山のお客さんがアンコールを所望していたかもしれないが(笑))翌日、この演奏を聞いた中学生たちはクラシック音楽の概念が覆され、アドレナリンが湧き出たことだろう。
・ドヴォ6は大好きな曲で、よく三大交響曲と称され演奏機会も格段に多い7・8・9番と比較しても引けを取らない名曲と信じる。ただ、やや構成に難がある(特に第4楽章)のも事実。指揮者の実力を存分に堪能するには、こういう曲の方がよい場合もある。
・ドヴォルザークの7番~9番はクラシック音楽鑑賞を聴き始めた中学生時代から馴染んできたが、この6番の魅力に開眼したのは結構最近だった。20年ほど前にプロオケで聴いたのがきっかけだが、プロ演奏の鑑賞経験はその1回しかない。メロディメイカーのドヴォルザークらしく、魅力的なフレーズが散りばめられている魅力的な楽曲なのだが、いかんせん鑑賞機会が限られている。
・曲に開眼して以来ノイマン/チェコフィル、スウィトナー/SKDの録音でで馴染んだこともあって、素朴で牧歌的な演奏が好み、しかし鈴木雅明さんのタクトはそれらとはとは全く違った!!
・先に書いた通り、弦5部は14型に拡大。雅明さんはBCJやバロック音楽のイメージが強く、10型ぐらいで小回りの利く演奏を想像していたので、この巨大編成は意外だった。石田コンマスの隣は泉原さん、ヴィオラに店村さん、チェロに上村さんという盤石の布陣から繰り出される弦の機動的かつ重厚な迫力あるサウンドは凄まじかった。
・演奏も『BCJの雅明さん』のイメージを大きく覆す、ゴリゴリ肉食系の超ハイカロリーなタクト捌きだった。優雅でメロディアスな冒頭はロマンティックに始まったが、序奏の途中から重厚に濃厚に聴かせる。歯切れのいいフレージング、緩急のメリハリ、決める所での大見得のようなパウゼなど、大編成を完全に掌中に収めて「これぞロマン派の演奏」という聴きごたえのある演奏に、まるでノーガードのパンチを食らい続けるような感じだ。
・この日の解説にも書かれている通り、ブラームスの交響曲第2番からの影響を指摘する見解が多いが、ブラ2に比較すると「やや冗長」という評価があることも事実だろう。ところが鈴木さんのタクトはこの曲の対位法が駆使されている構造を明らかにし、とりわけポリフォニーの各パート間の平等な扱いが徹底されていて、まるでベートーヴェンのシンフォニーを聴いているような構成感にあふれ、それがこの曲に瑞々しい生命を与えていた。もちろんこれは、京響のアンサンブル能力あってのことだろうが、ドヴォルザークが苦心して作った対位法の妙味を存分に引き出したために冗長さが霧消したのだろう。
・第1楽章の序奏の部分。序奏のフレーズが「行きつ戻りつ」しながらエネルギーを溜めに溜めて一気に開放する場面などは、まるでベートーヴェンの英雄の冒頭に酷似している。そう、まさに田園交響曲というよりは英雄交響曲ではないか、と思わされた。
・そうかと思えば第2楽章の冒頭のこの上ない美しさは、第九の第3楽章に酷似しているようにも感じる。雅明さんのタクトに接すると、このブラームスの6番はドイツの3Bからの系譜を正統的に受け継いだシンフォニーのように思えるのだ。
・個々のパートで言えば、まずは第三楽章でのティンパニ:中山さんの演奏が素晴らしかった。2-2-2-3-3のリズムに加えてシンコペーションも要求されるが、余裕のバチ捌きで、月並みな表現だが言ってカッコ良かった。その演奏の美しさをずっと凝視していた。
・ポイントポイントでソロが出てくる高山さんのオーボエ、小谷口さんのクラリネット、柿本さん率いるホルン鯛も良かった。雅明さんの対位法の構築美とマッシヴなサウンド、彼ら木管陣の牧歌的味わいの深い演奏が相まって、
・第3〜第4楽章のアタッカで繋げ、第3楽章での熱狂が第4楽章へ引き継がれた。第4楽章はやはりブラームスなどと比べるともう一工夫欲しい感じは残るが、生命力溢れる熱演で冗長さは全く感じさせなかった。こんな充実したドヴォ6はもう聴けないかもしれないな・・・・
・このリーデンローズ大ホールで聴く京響の音色は京都コンサートHとも違うし、ザ・シンフォニーHとも違う。キュイーンとどこまでも伸びる音(語彙力が・・・)、各楽器の音ががトロトロに溶けていく感じ。
・終演は1820。オーケストラ福山定期の年間プログラムの中では、一番軽量かと思われたが、なんのなんの、大満足の演奏会でした。照明が明るくなるまで続いた拍手が、満足感が私だけでなかったことを証明している(もしかすると、定期演奏会慣れしていない福山のお客さんがアンコールを所望していたかもしれないが(笑))翌日、この演奏を聞いた中学生たちはクラシック音楽の概念が覆され、アドレナリンが湧き出たことだろう。


