天井桟敷のつぶやきver3.1

瀬戸内地方のコンサート感想記録。since2006.7.26 ssブログ(旧so-netブログ)サービス停止のためはてなブログに引っ越してきました

岡山フィル2023年度シーズンプログラム

 少し時間が経ってしまったが、岡山フィルの2023年度シーズンプログラムが1月21日に発表された(ハレノワのこけら落としは12月11日に発表済)。


第76回定期演奏会
2023年5月20日(土)14:00~
指揮:秋山和慶
ベートーヴェン交響曲 第6番「田園」
ベートーヴェン交響曲 第5番「運命」


津山定期演奏会(津山文化センター)
2023年5月21日(日)15:00~
指揮:秋山和慶
ベートーヴェン交響曲 第6番「田園」
ベートーヴェン交響曲 第5番「運命」


第77回定期演奏会
2023年7月23日(日)14:00~
指揮:デリック・イノウエ
ピアノ:松本和将
リムスキー=コルサコフスペイン奇想曲
ラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー交響曲 第4番 ヘ短調

 
岡山芸術創造劇場ハレノワ  こけら落とし公演
ケルビーニ/歌劇「メデア」
2023年9月1日 岡山芸術創造劇場ハレノワ大劇場  開演時間未定
指揮:園田隆一郎
演出:栗山民也
メデア:岡田昌子  ジャゾーネ:清水徹太郎
グラウチェ:小川栞奈  ネリス:中島郁子
クレオンテ:伊藤貴之
管弦楽:岡山フィルハーモニック管弦楽団
 

第78回定期演奏会
2023年10月22日(日)14:00~
指揮:秋山和慶
チェロ:佐藤晴真
ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
シベリウス交響曲 第2番 ニ長調


ベートーヴェン“第九”演奏会2023
2023年12月10日(日)14:00~
指揮:飯森範親
ソリスト:オーディションにより選出
合唱:岡山“第九”を歌う市民の会
ベートーヴェン交響曲 第9番


ニューイヤーコンサート
2024年1月21日(日)14:00~
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ハープ:マルギット=アナ・シュース
ラヴェル/道化師の朝の歌
モーツァルト/フルートとハープの為の協奏曲(Ob.版)
モーツァルト交響曲 第31番「パリ」
ラヴェルボレロ


第79回定期演奏会
2024年3月9日(土)14:00~
指揮: 秋山和慶
ヴァイオリン:戸澤采紀
ベートーヴェン/「コリオラン」序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
ブラームス交響曲 第4番 ホ短調


 指揮者陣や地域定期などで徐々に「秋山カラー」が出てきていると実感させるラインナップ。ただ、少々物足りない部分もあります。

 昨年11月11日付、山陽新聞に掲載された記事を振り返ると・・・
岡フィル 秋山体制でより高みへ 創立30年、東京公演も模索:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1329410

 この記事から、秋山ミュージックアドバイザーが示す方向性は
「東京公演の実施など視野に入れ、全国区で評価されるような演奏水準を目指す」
「レパートリーを拡大し現代曲なども取り入れる」
「本拠地以外の地域や子どもたちへのコンサートに力を入れる」

 この観点で2023年度のプログラムを検証してみよう。
 まず演奏水準の向上については、ベートーヴェンブラームスを軸にオーケストラの基礎固めをする意図が明確。特に5月は同一プログラムで本拠地定期と津山定期という、コンチェルト無しのシンフォニー2本勝負で2回の本番をこなすことで地力をつけようという意図が見える。
 指揮者陣もデリック・イノウエ、飯森範親ともに秋山さんと同じく斎藤秀雄直系の指揮者で、飯森さんはもともと岡山フィルとは縁が深く、デリックさんはメトロポリタン歌劇場など北米の歌劇場の経験が豊富で、2018年のセイジ・オザワ・フェスティバルでは小澤征爾の代役を急遽務めたことも記憶に新しい実力派。同じメソッドを共有する指揮者陣で岡山フィルの演奏向上を目指そうという意志が極めて明確な陣容。1月にシェレンさんが指揮台に立ったとき、どんな変化を感じ取るだろうか。

 次にレパートリーの拡大については、秋山さん十八番の一つ:シベリウス交響曲第2番がいよいよ取り上げられるが、先のインタビューで秋山さんが触れていた「現代曲」はラインナップに無く物足りない印象を残す。そもそも年間5回のサブスクリプションでは新レパートリーの開拓には限界がある。せめて定期年間6回+名曲コンサート年間3回ぐらいの回数は欲しいところ。

 本拠地以外のコンサート展開については、従来の県内各地域での特別演奏会を津山「定期演奏会」と名付け、今後も本拠地の定期演奏会と同じプログラムが聴ける体制を目指しているのだろう。津山市は過去に音楽大学も存在し、30年間に亘って音楽祭を開催してきた音楽都市、県内他地域に比べると潜在需要は高いはず。一方で今回は『第1回』定期演奏会と銘打っていないところを見ると、今後も実施するかは集客次第なのだろう。津山の皆さんには是非足を運んでほしいと思う。願わくば津山の地に、岡山フィルの手で再びマーラーの音楽が鳴り響く日を夢見て。
 
 ソリストはホールゆかりの奏者を中心に起用。松本和将(Pf)は去年のラフマニノフ3番の演奏が圧倒的だっただけに、パガニーニ・ラプソディにも期待が高まる。佐藤晴真はTHE MOSTの初期メンバーで岡フィルへは2度目の登場、戸澤采紀さんはお母様の実家が岡山だそう。間違いなく日本のトップヴァイオリニストになる(もうなっているか)逸材によるブラームスも楽しみ。
 もちろん、ソリストのハイライトはシェレンベルガーとパートナーのアナ・シュースさんによるモーツァルトだろう。シェレンベルガーの名前が入るだけで年間プログラムがなんと華やかになることか。シェレンさんとアナ・シュースさんのデュオは、2月4日ハレノワの中劇場でのリサイタルも予定されている。
 
 他には、ネットチケットのシステムがぴあゲッティに移行する点が注目点。シンフォニーホールとハレノワの3つの劇場4館の催事のチケットがぴあゲッティのシステムで一括で管理される。セブンイレブン発券に対応するため、従来の電話をする手間や簡易書留料金の負担などが軽減され、市外の客は買いやすくなるだろう。実際、京響京都コンサートホールはぴあゲッティの導入によって市外から格段に買いやすくなり、目に見えて(演奏向上やそれ以外の集客策も功を奏して)お客さんが増え、定期演奏会2日制に移行できた。近隣ではアルスくらしきが導入しているし、新型コロナウイルスワクチン予約システムもゲッティのシステムを使っているところが多く、システムが非常に安定している。
 
 また、開演時間が15:00から14:00に変更に。14時開演16時終演だと終演後に夕食を食べて帰るという流れにはなりにくく、商店街への波及効果は少なくなるだろうが、高齢の公共交通機関を利用するお客さんは夕方のラッシュに巻き込まれないため、遠のいている高齢客層が戻ってくるかも知れない。

 2022シーズンのプログラムは2021年の年末に発表されていたが、今回はちょっと遅かった。年末年始に来年度のカレンダーに予定を書き入れたり、家族の大まかな用事(帰省や旅行の計画など)を固めるという人も多いだろう。思い出してみると、私が関西の実家に帰った時、大阪フィルや関西フィルの年間プログラムが転がっていて、あーだこーだと家族・親族の話題になったりしていた。大フィルなんかは定期演奏会・主催公演の日程が入った卓上カレンダーまで用意されている。今回のように1月下旬の発表、パンフレットの送付だと、そういうビジネスチャンスをみすみす逃していると思う。