ラ・フォル・ジュルネは、1995年、フランス西部の港町ナントで誕生したクラシック音楽祭。「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」のネーミングそのまま、ヨーロッパの数ある音楽祭の中で最もエキサイティングな展開を見せています。 毎年テーマとなる作曲家やジャンルを設定。コンベンションセンター「シテ・デ・コングレ」の9会場で、同時並行的に約45分間のコンサートが朝から夜まで繰り広げられます。演奏者には旬の若手やビッグネームが並び、5日間で300公演!を開催。好きなコンサートを選び、1日中、音楽に浸ることができます。
しかも、入場料は6〜30EURO(700円〜3,000円)という驚きの低価格。「一流の演奏を気軽に楽しんでいただき、明日のクラシック音楽を支える新しい聴衆を開拓したい」というルネ・マルタン(アーティスティック・ディレクター)の意向によるものです。来場者の6割をクラシックコンサート初体験者が占め、たくさんの子どもたちも参加しています。
ユニークなコンセプトで展開されるラ・フォル・ジュルネの人気は国外へも拡がり、2000年からポルトガルのリスボン、2002年からはスペインのビルバオ、2005年からは東京国際フォーラムで開催。2008年には金沢とブラジルのリオ・デ・ジャネイロ、2010年には新潟、びわ湖、ワルシャワ、2011年には鳥栖、2015年にはロシアのエカテリンブルクで開催され、いずれも大成功を収め、クラシック音楽界にセンセーションを巻き起こしています。
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創造都市(Creative City)とは、グローバリゼーションと知識情報経済化が急速に進展した21世紀初頭にふさわしい都市のあり方の一つであり、文化芸術と産業経済との創造性に富んだ都市です。
産業空洞化と地域の荒廃に悩む欧米の都市では、1985年に始まる「欧州文化首都」事業など「芸術文化の創造性を活かした都市再生の試み」が成功を収めて以来、世界中で多数の都市において行政、芸術家や文化団体、企業、大学、住民などの連携のもとに進められています。
世界の動き
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)も、文化の多様性を保持するとともに、世界各地の文化産業が潜在的に有している可能性を都市間の戦略的連携により最大限に発揮させるための枠組みとして、2004年より「創造都市ネットワーク」事業を開始し、7つの分野で創造都市を認定、相互の交流を推し進めています。 日本では、神戸市(デザイン)、名古屋市(デザイン)、金沢市(工芸)、札幌市(メディアアート)、鶴岡市(食文化)、浜松市(音楽)、篠山市(工芸)の7都市が認定を受けており、他にも多くの都市が認定に向けて活動を行っています。
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正直、僕には上の説明だけでは「『創造都市』とは何ぞや?」の答えになっていないと思うので、それについては次回掘り下げたい。
話をラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)と『創造都市』との関係性に戻すと、日本版ラ・フォル・ジュルネの開催都市だった金沢市はユネスコから創造都市の認定を受けており、実は新潟市も「食文化」の分野で認定を受けている。新潟市はナント市とは姉妹都市の関係にあり、ラ・フォル・ジュルネについては「うちがやらなくてどうする!」というポジションだった。
金沢市も新潟市、そして他の開催都市も、このラ・フォル・ジュルネの開催によって、音楽文化の活性化や交流人口の増加だけでなく、地域の経済や産業への好影響も期待して開催したはずである。
しかし、2011年から参加した鳥栖市が2013年をもって開催中止、ついで東京とともに日本におけるこの音楽祭の車の両輪の片方を担っていたといっても過言ではない金沢市が2016年をもって終了し、翌2017年からは「いしかわ金沢風と緑の楽都音楽祭」を立ち上げて袂を分かった。大津もラ・フォル・ジュルネから離脱し、2018年から「びわ湖クラシック音楽祭」を立ち上げる。同じく2017年をもって中止した新潟では後継の音楽祭の開催を検討したものの実現には至っていない。
一方で東京で開催されるラ・フォル・ジュルネは文字通り熱狂を保ったまま、(2020年にはコロナ禍のために中止になったものの)引き続き開催され続けてる。
なぜ、本場の『創造都市』のイベントの熱狂の誘致に成功しながら、開催諸都市で継続されなかったのか・・・。
その分析のためには、まずは「『創造都市』とは何ぞや?」というところから掘り下げる必要がある。
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