〜 休 憩 〜
(※後半のみの鑑賞)
指揮:中井章徳
配置は1stVn13→2ndVn12→Va11→Vc9→Cb6。金管・打楽器の配置が特徴的で、ホルンを上手に配置し、ティンパニを下手奥に配置していた。ホルン上手の配置はドイツのオーケストラがよくやっている印象があり、バンベルク交響楽団を聴いたときも(確か)この配置だった。ティンパニの下手奥配置は、第2楽章などの弱音の時に遠くの方から鳴るような効果があった。強奏する場面では中央配置とあまり変わらない印象。
以前のエントリーでも書いたが、今年は岡山でのブルックナー4番の当たり年で、僕自身は先月の岡山フィル定期に続いての鑑賞。エキストラ奏者に岡山フィルのメンバーの名前が見え(恐らくトレーナーも兼ねているのだろう)、なんと高畑首席コンマスも乗っていたのには驚いた。あまり目立たないように、あるいは音が浮き上がらずに溶け込むように弾いておられたが、強奏する場面では、そのプロ奏者が座るヴァイオリン隊の後方プルトからとても艶と輝きのある音が聴こえていた。
とても聴き応えのある演奏だった。先月の岡山フィルが中央ヨーロッパの森のなかで躍動する伝説の神々たちの情景が浮かぶような、あるいはゲルマンの血が滾るような押しの強い、なおかつ美しい演奏だったが、今回の岡響の演奏は、悠久の大河が滔々と流れていくような演奏で、人間が歩む様々な人生に寄り添うような心を打つ演奏。とにかくその人間味溢れる音に感動した! 特に第2楽章と第4楽章が味わい深く、舞台に立つ80人の人生を乗せて奏でられた讃歌に陶然と耳を傾けていた。
第3楽章のスケルツオでは快速テンポになる部分もあったが、総じてじっくりとした足取りの演奏で、各楽器間のバランスにはこだわっているように感じた。ソロや目立つ場面では非力な部分も垣間見えたが、アンサンブルが素晴らしく、また、第1・2楽章の管楽器のオルガンサウンド、ブルックナー特有の金管や木管だけが息の長いフレーズを続ける場面での安定感、弦の弱音部の処理や第4楽章冒頭に代表されるトレモロの輝くような弦の音など、要所要所の聴かせどころは見事の一言。
指揮の中井さんとは初めての共演だったようだが、とても息があっていて、特に第3楽章〜第4楽章では、まさに人馬一体の演奏になった。